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イムデベ!

個人的偏見と傾向による映画・音楽・本紹介&レポ

さらば あぶない刑事 2016 日本 村川透監督

映画

劇場版7作め!

 

これはスゴイ!もあったし,これはどうなの?もあったし,紆余曲折ありつつも,なんだかんだ言ってずっと愛さずにはいられないシリーズがついに(これまで何度も最後最後と言ってはきたが)最終回ということで,楽しみなような,寂しいような,実に複雑な気分で観に行ったんだけど……

 

今回は原点回帰と言い切っていたとおり,TV時代からのあぶない刑事ファンには大満足の内容だった!

ありがとう!

こういうふうな終わりを望まずに望んでいたんだと思う.

 

見事な幕を引かないこの幕引きに,大きな拍手を送りたい.

 

私たちはユージとタカに別れを惜しむことなく,ずっと,あのふたりは一緒に走り回っているのだと思うことができる.

何度ありがとうと言ってもたりないくらいの,ありがとう!

 

今回の劇場版は,これスタンダードサイズじゃないの?と思うくらいにTV版と同じだった.

あのTV版がどれほどのクオリティで作られていたか,

二人がどれだけ軽やかに,楽しく,カッコよく,活躍していたかを思い出した.

 

横浜はもう同じ街とは思えないほど変わってしまったのに,あぶない刑事はまったく変わらず帰ってきてくれたのだから,これを感謝で迎えずしてどうしようというのか.

 

いい加減なところも,むちゃくちゃなところも,ただただカッコよければいいじゃない,というその場のノリも,昔のまま.

アクションもすごかったんだけど,スケールアップは別にしないの.昔のままなの.

それがいいんだよね~.

無駄に爆発とか要らないわけ.

ユージが走って,タカがハーレーで来ればいいわけ.

トールは困ってて,カオルはドタバタしてて,これだよ,これを待っていたんだよ!

 

せっかくだから昔話もしとこう.

 

TV版が決まったとき,私は柴田恭兵の大ファンだったから,相手役が舘ひろしというのがすごく不満だった.

舘ひろしと言えば,苦虫をかみつぶしたような顔をした男という印象しかなかったからだ.

同級生もみんな同じ意見で,恭兵はいいけど,舘は嫌だよねえ,と話していたものだ.

あと,仲村トオルも嫌だった.当時,彼にはビーバップのイメージしかなかったので,あのふてぶてしい顔した不良でしょ,という感じ.

 

それが一話目を観た次の日,学校で大騒ぎになった.

とにかく恭兵がカッコイイ!そして舘ひろしがカワイイ!え,何?何が起こったの?

しかも仲村トオルがおかしかった.全然不良じゃなかった.トロい動物だった.

以降,毎週,毎週,放映日の次の日はみんなで大騒ぎしたのを覚えている.

最大の衝撃はたしか,舘ひろしが「ユージ~」と情けない声で呼んだことだった.

舘ひろしがあんな声を出すなんて!

ちなみに浅野温子がどう映っていたかというと,ひたすらカッコ良く見えていた.

だって,ユージもタカも太刀打ちできないんだもん.

そんな女性が出てくるドラマは他になかった!

 

あの頃,二人が走り回っていたのはだいたい,赤レンガ倉庫付近だった.

赤レンガ倉庫は,全然整備されていなくて,汚く,半分朽ちた廃屋みたいなところだったから,犯罪者がたまるのにぴったりの雰囲気だった.

さすがに毎回毎回,犯人があそこへ逃げ込むのには笑ったけれど,それも含めてのあぶない刑事だったと思う.

 

今や,赤レンガ倉庫は観光名所となり,周囲もすっかり整備されて,観覧車もできちゃったし,夜景のきれいなおしゃれスポットになっちゃったけど,それでもあぶない刑事が走ることのできる場所はまだあったね!

久々に,横浜あぶねーなって思ったわ(笑)

 

続きが観たくないって言ったらうそになるけど,これほどの美しい幕引きに,その幕を引きずり下ろすのも無粋な気がする.

ひとまず,感謝の言葉を,村川透監督に捧げたい.

ありがとうございました.

 

ところで,今作で初めて気づいたんだけど,ほんとだ,ユージ,彼女がいたためしなかったね…アレ?

 

ま,カッコ良すぎるとそうなるわな.

 

ザ・ウォーク "The Walk" 2015 America directed by Robert Zemeckis

映画

軽やかに前に踏み出す一歩のはなし

 

フィリップ・プティは実在の軽業師,というか綱渡り師である.

彼が,かつてツインタワー竣工時に(片方のタワーは既に建っていて使われていて,もう片方は完成間近だったが入居は始まっていなかった),こともあろうにタワーの屋上から屋上へワイヤー(なんと2センチとすこし!)を渡して綱渡りをした実話を,ロバート・ゼメキスが映画化した.

 

これが,思いもかけず軽やかな映画である.

 

この偉業というにはあまりにクレイジーな挑戦を映画化すると聞いて,想像したのはさまざまなハプニング,そして地道な努力,練習,心の葛藤が延々描かれた挙句の,クライマックス的な綱渡り(ようやっと渡ったか!)だったが,オープニングからそれを文字通り軽く裏切る.

 

ジョセフ・ゴードン・レヴィット演じるプティが自由の女神のてっぺんに乗り,こちらに物語を語り始めるのだ.

 

それはまるで紙芝居のような始まりで,そのあともファンタジーに近い,1970年代というみんなが上を向こうとしていた時代に彩られたフランスでの子供時代から少年時代,そして綱渡りへと彼のものがたりが綴られていく.

 

プティはまったく唐突に綱渡りに魅せられ,そしてまったく唐突にツインタワーを夢見る.

 

気が狂っているようでもあり,おとぎ話のようでもある唐突さが,実はとんでもなく恐ろしい計画である綱渡りに,まるでピクニックにでも連れて行ってくれるような気軽さを生む.

 

かくして仲間たち(個性ゆたかでますますおとぎ話のようだが実話)を集め,プティはアメリカで綱渡りに挑む.

最早,その高みにあって恐怖を感じる必要はない.

観客もプティと一緒にその高さ,誰も観たことのない(もちろんプティ本人以外)を楽しめばいい.

 

プティは実に40分以上,ワイヤーの上にいたという.

もちろん映画のうち40分を費やすわけにはいかないけれど,それでも十分なほど長い時間,プティは我々をワイヤーの上に連れて行ってくれる.

 

この綱渡りはプティにとって夢であるように,仲間たちの夢でもあり,そして見た人たちの夢にもなった.

私の知っているツインタワーは,周囲のビルに並ぶ高層ビルのひとつに過ぎないが,竣工時は違っていた.

周囲に高い建物はなく,ただツインタワーだけが,無遠慮に巨大なその四角柱を空に突き刺していた.

実際,建ったとき,非常に評判が悪かったという.人間味のない四角いふたつの建物は人に好かれることを拒んでいるようにも見えた.

それがプティがその間を渡ったことで,人はそこに親しみを持つようになったそうだ.

プティは自分の夢をかなえ,ツインタワーに心を与えた.

 

プティの綱渡りを観た人たち,地上から彼の歩みを見守った人たちの人生はきっと多かれ少なかれ変わった筈だと思う.

そこに自分の夢を投影した人もいるだろうし,勇気をもらった人もいるだろう.

 

この映画は,人生に踏み出す一歩に怖気づいている人たちに,まずは足を出してごらん,と言っているような気がする.

最悪なときでもまずは一歩.それが軽やかであればあるほど,物事はうまくいく.そんな気持ちになる映画だ.

そして自分だけの景色を手に入れたいと願うことを後押ししてくれる映画だ.

 

もちろん,ツインタワーは今は無い.

それがこの映画の最も悲しいところであり,切ない部分だ.

人が建て,人が愛したタワーはたくさんの人たちの命とともに人の手によって崩れ落ちた.

それでも,希望が無くなったわけではない.プティの与えた心が完全に崩れ去ったわけではない.

それは,この映画でゼメキスがツインタワーに向ける視線,画面上に美しく残るツインタワーの姿にこめられているように思う.

 

ロバート・ゼメキスと言えば色々あるけれどやはり「バック・トゥ・ザ・フューチャー」.

あれも,勇気を出して踏み出すことを恐れるなという明確なメッセージを持っていた.

なんとなく,私にとってゼメキスはいつも味方でいてくれる監督だ.

子供のときにマーティの活躍にドキドキしたのと同じように,今,大人になってプティの軽やかな一歩にドキドキしている.

 

たった2センチ.

それだけの幅でも人は前に進むことができる.

 

プティを演じたジョセフ・ゴードン・レヴィットについても少し.

面倒なのでJGLと書くけれど,彼は演技派なだけでなく,非常に器用な人間で,かつてTVのトークショーでボードヴィルをやってみせたこともあるし,マジックマイクが大ヒットしたときにはストリップショーの真似もやってみせた.

JGLの兄は残念ながら若くして亡くなったが,ファイヤーパフォーマーだった.

だからジャグリングなんかは兄から教わっていても不思議はない.

今回ももちろんビルの屋上ではないけれど,綱渡りを習得したという.

綱渡りをする人独特の筋肉の付き方,姿勢なのかもしれないが,胸が大きく前に膨らんだ姿は,まるで希望で胸がいっぱいという感じを受ける.

 

難しいことは考えなくていいから一歩前に出てごらんと言っているみたいで元気が出る.

 

高所恐怖症でないひとには,ぜひとも観て欲しいし,

高所恐怖症のひともちょっと勇気を出して観てみてはどうか.

このブログについて

はじめに

このブログはmk2が好きな映画、音楽、本について
テキトーに好き勝手書き散らしたり、紹介したりする場所です。

かなり個人的趣味に偏っています(すなわちイギリススキーでオーストラリアマニア)。

あまり人の勧めないような映画から人の観ないような映画まで、一方的にプッシュします。
ときには有名映画もキレ気味にプッシュします。
ひどいときには日本で公開されていない映画までプッシュします。

日本語字幕がなければフィーリングを使えばよい。

そんな気持ちでやらかすブログです。

ちなみに題名はアメリカの某巨大映画データベースサイトの日本語読みです。
かつて隆盛を極めた(?)ISDNをイズドンと読み、ADSLをアドズルと読む、そういう流れです。

mk2はエムクと読みます。2は本来べき乗の2です。
「ヤング・アインシュタイン」というヤッホー・シリアス主演映画で、E=mc2を「エムク!」と
叫んでいたのから取りました。
傑作です。観たほうがいいと思います。
主演俳優の名前からして傑作の香りがする…。

元は↓こちらでやってました。使いにくいので、お引越し、お引越し。

随時暇を見て、データを移すつもりです。

イムデベ!