イムデベ!

個人的偏見と傾向による映画・音楽・本紹介&レポ

フォーエバー・プラッド 28th May, 2016@東京グローブ座 4 & 5th May, 2016@KAAT

 オフ・ブロードウェイのミュージカルで2013年に日本版で公演、今回、全く同じキャストで再演となった舞台を、千秋楽を含む3回観てきました。

 

 男性四人のボーカルグループが、初めての大きな舞台を踏むことになって、誂えたスーツを取りに行くとき事故に遭い、全員死んでしまう。そんな彼らがよみがえって、ひと晩かぎりのライヴショーを行うというとても変わった設定のミュージカル。

 ミュージカルと言っても、台詞を歌うことは一切なくて、観客は彼らのライヴショーを観に来た観客ということになるから、感覚としてはライヴに近い。登場人物も四人だけだし(あとは演奏するバンドだけ)。

 しばしば観客に話しかけたり、舞台にあげたりもする観客巻き込み系で、アドリブもちょいちょい混ざってるとても気軽に楽しめる作品でした。

 

 構成も、一夜限りのライヴショーという限定された時間と空間に、彼らの生前の思い出だとか、歌に対する思いだとか、切なさがきれいに織り込まれていて、実に絶妙。飽きさせない。

 特に終盤のエド・サリヴァンショーの部分は抱腹絶倒の大騒ぎで、4人しかいないなんて信じられないほどのバラエティに富んだシーンを繰り広げてました。何回観ても爆笑。

 

 歌も素晴らしかったなあ。明るい歌から、ラブソング、労働歌まで、幅広くて、それをどれも実に楽しげに生き生きと歌い上げてくれるから、聞いていてとても気持ちが良くて、ずっと笑顔でいられました。これは癒し舞台……。

 

 キャスト四人がまた絶妙な配役で、元気いっぱいなんだけどぜんそく持ちのフランキーに川平慈英、派手でカッコつけでちょっといい加減なスパーキーに松岡充、スパーキーの異母兄弟(って言ってたけど設定的には親の連れ子同士なのでは…)ですぐに鼻血が出ちゃうビクビクビックルなジンクスに長野博、そして胃痛持ちで神経質なスマッジに鈴木壮麻。

 

 失礼ながら、私、壮麻さんって存じ上げてなくて、この四人のなかで唯一、知らないキャストだったんですけど、声を聞いた瞬間に、なにごとー!!?ってなりました。

 とんでもない美声。聞けば劇団四季にいらしたとのことで、アンコールのフリートークでも、この後にもう3つくらい舞台の台本が届いているという超売れっ子さん。

 身のこなしも美しく、しかもハンサム。聞いてないよって感じのハンサム。それでいてコメディセンスも抜群で、ハンサムなのに、観客を笑い死にさせかけたのは間違いなくこの方です。

 

 みんなそれぞれ役柄にぴったり、というか、役柄を演じるのにぴったりでしたね。

 川平さんの小さな身体から発散するエネルギーの大きさはフランキーそのものだったし、松岡くんのライブステージで磨かれた歌い方のカッコ良さはやっぱ役者さんとは一線を画する感じだったし。長野くんはおどおどしているふりが上手!(笑)いや、だって、V6でおどおどしてるの観たことないもん(むしろ一番どっしりしてる)。でも、そこは流石のアイドルパワーで、かわいくみせる技に長けてらっしゃる。すっごいかわいかった。なんか果てしないかわいさを観た。

 ちなみに踊りもいつもと全然違ってて、わざとぎこちなくしてたんだろうけど、時折キレッキレの仕草が出ちゃってて、それもまたかわいかった。もう何でもかわいいよ!

 あと、転び技やらせたら本当に上手いよね、長野くん。On The Townでもびっくりしたんだけど、今回も階段でのずっこけシーンがあって、すごい自然なのね。ビートたけしより自然だよね。どこで身に着けた技なんだ、あれは。

 まあそれはどうでもいいんだ。

 

 今回約3年ぶりの再演となりましたが、これは数年おきに是非とも、是非とも、同じキャストで再演してほしいなあ。プラッズたちが帰ってくるのを観客も心から待っているヨ~!