イムデベ!

個人的偏見と傾向による映画・音楽・本紹介&レポ

アトミックブロンド Atomic Blonde directed by David Leitch, 2017

全然前情報なしに観に行ったんですが(シャリーズ・セロンのアクション映画というだけ)存分に楽しんできました。

以下、ネタバレを含むので、何も知らずに楽しみたい方は回れ右をして映画館へどうぞ。

できるだけ音響の良い映画館で観ることをオススメします。

現状、音響トップのチネチッタさんで公開していないことがかえすがえすも残念…。

「Atomic Blonde」の画像検索結果

 

【ネタバレ有】

まず舞台設定がいい。

東西ドイツの壁崩壊前夜のドイツでの各国スパイ合戦。

シャリーズ・セロン演じるイギリスのスパイ、ロレーンは、かつて恋人であった(多分)同僚のスパイがベルリンで殺され、欧米スパイのリストをロシアスパイに奪われたことを知る。

リストを奪い返すべく、長くベルリンに潜伏しているイギリスのスパイと協力せよとの命令を受けるが、そのスパイは敵か味方か判らない男だった。

というのが大体の粗筋で、あとはアクションに次ぐアクション。

冒頭は当時の音楽が兎に角がんがん鳴るのがうるさく感じるし、

あまりにセロンがスタイリッシュで、これセロンのPV?って思っちゃうんだけど、

物語が転がり始めると、アクションが凄すぎて、音楽の大きさなんか気にならなくなるし、セロンのルックスとアクションに当時の音楽が実にぴったり嵌る!

あの長いおみ足を黒いロングブーツに包み、超ミニスカートで、次から次へと出てくる野朗どもを蹴り飛ばし、投げ飛ばし、殴り飛ばしすのが実に爽快!

ストレス溜まったときに観たいタイプの映画だね(笑)

ストーリーはサスペンス有り、ドキドキハラハラ展開有りで、中だるみ一切なしのジェットコースター系。

ファッションは素晴らしい。セロンと、あとフランス人のスパイ女性(キングスマンでガゼルちゃんをやった子)が出てくるんだけど、二人とも本当に美しい衣装と下着に身を包み、目の保養~。

一方で野朗どもは徹頭徹尾、野朗ども。

 まあ、ぶっちゃけ、汚い。

マカヴォイさん(なんでマカヴォイさんには”さん”をつけなければいけないのか知らないが、つけないと怒る勢力が存在している。ハク様の”様”と同じ類の何かだ)がここまできちゃないってのも珍しいので、なかなか面白いのではないかと。

あとマッチョです。マカヴォイさん、マッチョです。

常々、マカヴォイさんはオファーされるよりもダーティな役の方が似合っていると思っていたので、今回の役柄はドンピシャじゃないでしょうかね。

得たいの知れない、きちゃない、マッチョ。

マカヴォイさんの底知れない視線がばっちり役に嵌っていました。

とかなんとかいいつつ、脳裏に浮かぶのはセロンのガーターベルトばっかりなのはお許し願いたい。本当に美しかったのだ。

アクションがけっこうグロイので、そういうの苦手な人はご注意を。

ところで、作中、セロンが逃げ込む映画館で掛かっているのは、タルコフスキー監督の「ストーカー」。

これ、1年くらい前に(曖昧)タルコフスキー特集なるものが新宿で上映されてまして、かねてより観たかった「ノスタルジア」を観に行ったら、開演1時間以上前だというのに、もう売り切れ。それで今ならかろうじてチケットがありますよと言われて観た映画でした。

「ストーカー」もそのあとすぐ完売しちゃったので、実際、映画上映時間になって映画館にチケット片手に戻ったら、映画館の前で涙ぬぐってる女性とかいてね、タルコフスキーの深さを思い知ったんだけど(映画じゃないのか)。

「ストーカー」って言うのは案内人くらいの意味だと思ってください。捜し求める人とかそういう意味もあったかも知れない。とにかく、所謂「ストーカー」とは全く違います。

この映画、どう観ても、チェルノブイリ事故後の事故現場近くが舞台設定なんですよ。

ってチェルノブイリ事故が起きる10年も前に作られた映画なんですけど(ぞっとする話なわけ)。

森の奥深くに人の望みをかなえる扉(或いは部屋)があって、そこに行くにはストーカーを雇わなければとうていたどりつかない。

常に死の危険を感じながら、ストーカーと共に目当ての扉までたどり着いた男二人が扉に求めるものとは、って言うところの、扉にたどりつくちょっと前のところが、セロンの背後に上映されていたように見えた。

最終的にセロンがそのスクリーンを破く=扉を開けるに掛けているのかな。

まあ、このあたりは知っている人だけ気付いてみたいなメッセージだと思っておく。

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↑こんな感じの画面だったと思うんだ。よく見えなかったけど。

というわけで、ご興味がありましたら是非、この「ストーカー」も併せて観るとより楽しい、かも知れない(観なくても十分楽しいし、「ストーカー」自体は全く楽しい映画ではない。美しいけど)。

最後に特筆したいのは音楽。兎に角音楽が良かった。

デペッシュ・モード、ボウイ、キュア、エコバニ…しかも、有名曲だけじゃなくて、けっこうコアな曲も選んでるし、現代的にアレンジされたカヴァーも織り交ぜてバランスをよくしているあたり、凝っている。

クレジットがボウイ&クイーンの「Under Pressure」ってのも粋だよね。

この曲はたまたま、同じスタジオにボウイとクイーンがいて、じゃあ曲でも一緒に作ってみようかと言って作った曲(とクイーンが言っていた)なので、PVにはボウイもクイーンも出演していないんだけれども、凄い名曲だと思う。歌詞もいい。

で、残念ながらOSTを観たら、全曲収録されているわけじゃなくて、だいぶ、欠けてる。全リストはどうやら下記の模様。自分で集めるしかない(笑)

Atomic Blonde (2017) Music Soundtrack - Complete Song List | Tunefind

まあ、権利関係がだいぶん大変だったようです。

あと映画ではカヴァーが使われているのについても上記リストはオリジナルの方。

ところで、映画、生々しいアクションが素晴らしいなと思っていたら監督さん(David Leitch)、スタントマンなんですね。

監督業はほぼコレが初(長編)。次回作はデッドプール2だそうです。

うーん、どうなんだろう。この人、音楽と女性の足フェチだと思うんだけども、デッドプールか……

今回も全然関係ないタルコフスキーの話とかして長くなったのでこの辺で。

タルコフスキーは日本人気ほんと高くて、「スキスキタルコフスキー」なんていう舐めてるとしか思えない本も昔出てたくらいなんだけど、こうして映画の中に登場するところを見ると向こうでも人気(そらそーだ)

今度こそ「ノスタルジー」を観たい。