イムデベ!

個人的偏見と傾向による映画・音楽・本紹介&レポ

こんなときなのでオススメのパーフェクトな映画3選~3.「マーラー」

ケン・ラッセル監督作品。主演はロバート・パウエル。
制作は1974年(!)で諸事情あって1987年に日本初公開されたという古い映画なので、まずはトレイラーでも観てもらわないことにはどなたも観る気がしないだろうということで、まずはこちらをどうぞ↓


MAHLER (1974) - Theatrical trailer

 

予告編が想像以上に支離滅裂で困惑しかないが、大丈夫。

 

本編もこんな感じです!


作曲家グスタフ・マーラーの全生涯を、なんと電車に乗り込んでから降りるまでという短いスパンの間に全部見せちゃうという驚きの構造がパーフェクト!

 

伝記映画にありがちな冗長さは一切なく、
かといって生涯の一部分だけを切り取るのでもなく、
伝記映画にあるまじき悪夢のような幻影が怒涛のように押し寄せるトンデモ映画。

 

ケン・ラッセル監督って、好きな人は好きなんだろうけど、という前置き付きで、基本的にあまりにぶっとびすぎてて、ナニコレ・・・って眼が点になる映画の方が多いんですよね。

 

ジュリアン・サンズが全裸で屋根の上で絶叫する「ゴシック」とか(ありがとうございました)
ヒュー・グラントが半裸で寝起きで剣振り回して蛇退治の「百蛇伝説」とか(本当にありがとうございました)。

 

そのぶっとびっぷりというか、悪趣味スレスレの描写が、がっつり嵌ったのがこの映画「マーラー

ハンサムなマーラーの女性関係に苦しめられる妻アルマを、マーラーの影として描き、アルマの荒れ狂う魂も余すことなく幻覚と回想で見せてしまう強引展開。

そう、突然繰り広げられるザ・ラッセル幻覚ワールド。
そして乱入するベニスに死す(トーマス・マンが原作書いたとき主人公のモデルがマーラーだったらしい)。
クライマックスはワーグナーの妻、コジマ・ワーグナーと繰り広げる想像の斜め上をいく改宗シーン。

 

ところで、アルマ・マーラーは当時有名なファム・ファタルで、実は夫よりもモテた。
画家のオスカー・ココシュカのミューズであり、結婚前も中も後も、数多くの男性が彼女に夢中になった。
おそらく物凄く頭の良い女性だったと思うんですけど、
それでも結婚してしまえば夫を支えることを求められてしまう、その苦悩もしっかり描かれてます。

どうやったんだかわかんないんだけど、観終わると描かれてるんですよ…


マーラー(本人)とロバート・パウエルが物凄く似てます!
こちらがマーラー(本人)。

 グスタフ・マーラー:交響曲第4番 ト長調「大いなる喜びへの讃歌 ...

 

それにしてもなぜ私はこの映画を観ようと思ったのか(もちろんリアルタイムでは観てないので、最初はレンタルして嵌ってメディアを買ったんだと思うですが)。
ロバート・パウエルがとんでもないハンサムだからか? でもこの映画観るまで知らなかったけど・・・。

 

ついでなので「ゴシック」のトレイラーも置いておきます。ジュリアン・サンズは「モーリス」出演を断ってこの映画に出たと言われています(代わりにヒューグラを差し出したという噂。本当か嘘か知らんけど)。


日本版予告篇 / ゴシック

 


こちらは「白蛇伝説」。ヒューグラが美貌を無駄使いしていた頃です。


The Lair of the White Worm (1988) ORIGINAL TRAILER [HD 1080p]

これ映画館でうっかり観ちゃってさー、爆笑が止まらなかったんだけど(笑)

なんなんだろう、この映画・・・


ちなみに「ゴシック」はシェリーとバイロンとその愛人、友人が一度に会して「ドラキュラ」「フランケンシュタイン」を生んだ有名な「ディオダティ荘の怪奇談義」を描いた作品で、ジュリアン・サンズシェリーを演じていますが、同じ題目を描いた映画「幻の城」ではヒュー・グラントバイロンを演じています。
私はケン・ラッセル版よりこちらの方が好き。
ヒューグラの美貌がきちんと活かされている稀有な映画です(たぶん「モーリス」と「幻の城」だけがヒューグラの若い頃のむちゃくちゃな美貌をうまく扱えた)。
これもトレイラー置いておきます。

あ、トレイラーなかった。シーン抜き出しの置いておきますね。


ROWING WITH THE WIND EXCERPT


何を勧めているのかわからなくなってきましたが、ケン・ラッセルの「マーラー」。
一度観たら忘れられないやみつき映画です。ぜひ。