イムデベ!

個人的偏見と傾向による映画・音楽・本紹介&レポ

デヴィッド・テナント祭り~BROADCHURCHシーズン1(2013)シーズン2(2015)


Broadchurch Official Trailer HD

取り敢えず日本で字幕版が観られるS1、S2のみ観ました。
S3は日本語字幕ついてないので、イギリスからDVDを手に入れて未見ですが、自信を持って言えます。

私、テナントのスコティッシュ英語、ひとつも聞き取れない(ぜつぼう)

というわけで、S1,S2のみご紹介と感想。
尚、真面目な解説っつーの、違うな、えーっと考察か、そういうのをやる気はいつもどおり皆無です。

==あらすじ(ほぼネタバレなし)==
ブロードチャーチという海辺の観光地で、地元の11歳の男の子が殺害される。
捜査に当たるのは転任してきたばかりの刑事アレック・ハーディと地元の刑事エリー・ミラー。
誰もが顔見知りの小さな町で、住民たちがひた隠しにしてきた秘密が次々と暴かれていく一方で、
アレックも秘密を抱えていた。その秘密とは…

ザ・体調不良!!(両手を挙げて万歳)

シーズン2ではシーズン1で暴かれた犯人の裁判を軸にしつつ、アレックがブロードチャーチに赴任する前、サンドブロックで担当していた未解決事件を描く。
==================

兎に角、全編とおして映像が美しい。アレックが美しい。映像が美しいので、是非観て欲しい。
エゲレスの底力っていうか、モブキャラすらイケメンというのも強い。
しかしそこにスッと立って、ひときわ美しいのがテナント演じるアレック・ハーディなんですよ。
細い。
もともと細いテナントが更に細い。
ガラス細工みたいな刑事で、こんな刑事が家に来たら、犯人じゃなくても挙動不審になるわ!

ブロードチャーチってのがまた風光明媚な場所で、
海辺の観光地
という字面からおよそ想像できる場所ではないわけ。
灰色の空。
灰色の海。
夏なんだろうけどすげえ寒そう(サメはいなさそう)。
そして雨。
雨につぐ雨。
そこに持ってきて不安をかきたてる断崖絶壁がなぜかビーチ沿いに聳え立つ禍々しさ。
エリー、ここ怖いヨー!!

エリーって相棒になる刑事なんですけど、すごい、いいキャラなんですよ。
おかんキャラ。

この美しくも禍々しい物語に唯一のほっこりを誘うエリー・ミラー。
いつも浜辺の風で髪の毛ぼっさぼっさにさせて、革のかばんをたすきがけにしているエリー・ミラー。
アレックに何くれとなく世話を焼きつつ、全部拒絶され、拒絶されて尚、世話を焼いてしまう自分にうんざりしているエリー・ミラー。

いい。物凄く、いい。

そんなエリーに超嫌な顔しか見せないアレックが(尤も誰に対しても嫌な顔しかしねえ)だんだん何となく慣れていくのもみどころ。
慣れていって、ツンデレどころかツンしかねえアレックが、デレのデの字を出した瞬間に、エリーに超嫌がられるのが、心に、心の奥深くに沁みるね…沁みるよ…私、それ大好物だよ…

みんな、アレックをもっとぞんざいに扱って!!(正しいファンの心の叫び)

そんな劣情を煽るアレック・ハーディが心臓おさえながら(マジで)頑張るS1はアマプラで観られるよ!
ストーリーも素晴らしく、丁寧に作ってある良ドラマです。ぜひ!

以下、ネタバレ。ちょっと改行するね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冒頭、謎のシークエンスから始まるダニーの死体が見つかるところと、他所から来た刑事が一見ほのぼのとした街の暗い秘密を暴いていくところなんかは、ツインピークスを彷彿とさせるんだけど、不条理は一切無いのね。
アメリカでは不条理って言われるブツが、イギリスでは、えーっとそういうこともあるんじゃない?くらいのオカルトとして取り扱われる。さすが、幽霊が住んでいる城はお値段があがるお国柄だぜ。

アレック・ハーディは警部補として他所から来るんだけど、それは本当だったらエリーがもらうはずだったポジションで、それを他所で不祥事起こして飛ばされた刑事が奪っちゃうっていう…それ超むかつかない?ってシチュなんだけど、エリーがことあるごとに、「私のポジション掠め取りやがってこの野朗」ってアレックに言うので、観ているこちらはスカッとする。そうだ、もっと言ってやってくれ!アレックを責めてやって!(おかしな方向に)

当のアレックは心臓ボロボロでペースメーカー入れないとお前死ぬし、でも手術に耐えられるかどーかわかんないよ、って言われるくらいの状態なので、弱りまくってるんですよ。
これがもうS1全編通して素晴らしい。
弱り方が、その映し方が、美しい。
最初はエリーが淹れてくれたコーヒー要らねって言って(イヤイヤ期)、自分だけ紅茶飲むところで、ぐわんぐわん来て、トイレ駆け込んで薬飲んでハァハァするとこからスタート切るんだけど、こっちも気持ちがスタート切っちゃったよね。
そう来るんだ!身体弱ってるんだ!って。

この時点では、心臓ってわからないんですけどね。

あとで元の街のお医者さん(?)が、仕事やめないと死ぬぞーって言いに来るんですけど、えー、もう別に死んでもいいんだーって諦観してるアレックの美しさたるや、おかしい。
灰色の海に向けた眼の色の明るい茶色がすごい綺麗、何それ、宝石?
お医者さんも、あー、またイヤイヤ期かーって感じで帰っちゃうんだけど、そうね、なんか、押しても駄目なら引いてみろって感じよね、って共感している間にエリーが押しまくる。

うちにご飯食べに来る?のくだりはこのシーズン1で最高の見所。
物凄く嫌な顔で誘うエリーと物凄く嫌な顔で承諾するアレックのやり取りが本当に可愛い。
こっちだって誘いたくないんですって言っちゃうエリー最高。
何もって行っていいかわからなくて花束とワインとチョコ抱えておうちに行くアレック…さすがイギリス、わかってる。細い可愛い子には山ほど荷物持たせるといいってわかってる!!(しかもお花)

で、はしゃぎすぎて、帰りに不整脈
ホテル入るところで不整脈
部屋に転がり込んで薬飲もうとしたらまさかの殻しかない。中身ない。
え!おまえ、この状態で、薬の残量確認してなかったの!?(笑顔)

このシーンの鏡に映るアレックの顔の美しさ半端ない。
鼻のラインが骨の形くっきり出してて、しかもそれ超険しい山脈みたいじゃん。誰もその上に立てない薄さじゃん。
っていうか、倒れ方ー!倒れ方が最高ですー!!

ザ・脆性破壊。

倒れこんだバスルームの床によく収まりきったな、っていうアレックの長い脚の形がいい。
監督はよくわかってる。どこをどう映したらいいかわかってる。
倒れた身体を舐めるように映して、頭の下から血が広がるところまで…。
ちょっと、待って、ブロードチャーチの犯人がわかる前に、アレックの心臓よりこっちの心臓がばくばくしすぎて死にそう(危)

しかも救急車…救急車シーンきました。
視聴者(私)、息も絶え絶え。やばい、大好き、その酸素マスク。
しかも血痕~!たくさん血痕~!

血痕のひとつひとつをガン観したうえ、ついリピってしまう視聴者(私)
えー、もうやだー、このドラマ最高なんじゃない?先に進まない!(落ち着いて)

この辺でお気づきのことと思いますが、私、失神と怪我の話しかしないよ。

でね!また病院での目覚めがいいんだ。
テナントの眼が大きいから、目蓋がゆっくり開くときの時間が長い。
目蓋が眼球上でホバリングしてる感じかな!
あけてもあけても、まだ、おめめだよ。

ちなみに怪我は後頭部の下、耳の後ろあたりでした。
…ふーん、その辺の怪我、初めて見た。

もちろんエリーにすぐに見咎められて、ナニその怪我って言われるんだけど、
私、同僚のそんなとこ見たことないわ。
あ、でも、同僚がテナントだったら見るわ。
そうだね、そうだ(納得)

というか、ガーゼも何もあててないとは無防備この上ないね(いい)

心臓疾患以外にも、前の街での失態のことをジャーナリストから攻められたり、
街の人たちの暴走でかわいそうなおじいちゃん自殺しちゃったり、
いろんなことが起きるたびに、ポキッと折れちゃいそうな顔をするアレック。
苦悩するアレック。
今、その砂浜に崩折れてもおかしくない!って風情なので、観てるこっちが不整脈
アレック、た、倒れこんでもいいのよ?海とか、砂浜とか、ノッパラとか(好きな順で言ってみた)

でもアレックが倒れ込みかけるのは、葬儀後の飲み(向こうで何て言うのかな)中、室内なのでした。
倒れそうになって長い脚を伸ばしてぎりぎりでバランス取るアレック。
そのポーズは思いつかなかったわー。それ、最高だわー(感謝)

ハンサムがガクッとかなるのってやっぱ夢じゃないですか。
夢ですよね。夢です。
夢をかなえまくるドラマだよ、コレ。

しかも周囲の人が酔っ払ってよろけたとしか思わないところが不憫で…良きかなー、良きかなー。

事件解決の糸口が思うように掴めず焦るアレックがみんな帰ったあとの警察署で
苦悩して心臓おさえて床に座り込むのも良かった…!(反芻)
あの長いおみ足を投げ出して座り込んで、小さな顔を大きな手で包み込んで、
半泣きの顔を見せるとか、もう、イギリスは、どれだけ、素晴らしい国なんだ!?

いいなあ、あたしもオフィスにああいう苦悩ハンサム欲しい。

そして最大の見せ場は、犯人追いかけて心臓酷使しすぎて倒れちゃうところ!
すっごい声あげて倒れるのね。
地面を痛みでのたうちまわるのね。
しかも焦点があってない眼とかやっちゃうのね!

リピりました(進まない)。

なんかすごいものを見た……。
スーツだし、ネクタイをエリーが緩めて、死なないでよとか叫ぶとこに至っては、
やばい、これ、私の妄想じゃなくて本当にエゲレスのドラマなの?
エゲレスって夢なの?妄想でできてるの?

そんな視聴者とハーディに叩きつけるようにエリーの怒りの葡萄(1パック)。

え?なんで?葡萄?

「コレで喉詰まらせればいい!」

エリーに恋に落ちそうになった(感涙)。
今まで聞いたこともない罵倒の種類。
マニアごころをくすぐる(ニッチ)。

しかもね、字幕だと「自殺する気?」になってるけどね、
「死ぬとこだったのよ!」
って言ってるんですよ…パワーワード来たー!

もうさ、犯人とかどうでもいいからハーディの快復だけで1エピソード使ってもいいから!
なんて思ってしまうのはまだ甘かった。
たたみかけるように、

自ら体中に張られたセンサ類を外してお洋服着て病院脱出するハーディ。
警察署行ってエリーに罵倒されながら「死んでもいい」とか言っちゃうハーディ。
でも歩けないから廊下の壁ずってたりしちゃうハーディ。
ドアハンドル掴み損ねてドアにぶち当たるハーディ。

こ、こんなにサービスしていただいても、もう、私、いっぱいいっぱいで(息切れ)

えー!!犯人その人ー!!??

っていう感じです(シーズン1のざっくりとした感想)。
ちなみにシーズン1のメイキング観たら、役者さん全員、誰が犯人だか最後まで知らなかったそうです。
すなわち、自分が犯人かも、って思ってたし、こいつが犯人かも、とも思っていたとのことで
なるほど、それでこの異常な緊張感。

そしてシーズン2.
非常に残念なお知らせがあります。
これだけ明確にハーディの失神を打ち出してくれたシーズン1に反して、
シーズン2には一切、ハーディの失神はありません!

しかし、そこはやっぱりね、シーズン2でダニーの事件の裁判と、
アレックが前の町で犯人をとらえられなかったサンドブルック事件を
並列で進めて行くというハラハラドキドキな展開に、以下のサービスシーンが
盛り込まれております。

・ハーディが海辺に自分のおうちを持つ。水色の!おうちを!(S2って私生活が
知りたくなるフェイズだよね)

・ハーディがハーディより背の高い男に(あいつ190くらいあるよね)倒されて
胸を踏みつけられる(薄い本じゃないのに!)

・ハーディのペースメーカー手術シーンがある!(目覚めるときの美しさよ)

・手術後すっかりおとなしくなったハーディの海辺ウトウトシーンと、
ベッドでウトウトシーンがある!

要するにテンコモリです。ありがとうございました。ありがとうございました。

尚、個人的にS2はシャーロット・ランプリング様が登場したうえに、
実はローカル誌の女性編集長と長い恋を実らせるという非常においしいシーンが
含まれていたので、それも神!神なんじゃないの!?と思いました。
キスシーンが美しかった…。

以上、まとめると、
シーズン1って家族とは何か、血の繋がりとは何か、人間の本質とは何かを問いかける作品だったと思います。
シーズン2は贖罪。罪とは何か、罪を購うとは何かを問いかける作品ですね。
これだけ騒いでおいてなんですが、非常に誠実にテーマに取り組んでいる、サスペンスというよりは純文学に近い深さのある作品でしたね。

シーズン3はこれから観ます。

あ!イギリス版のブロードチャーチDVDボックス買ったんですけど、
シーズン1はビハインドシーン、2は削除シーンとメイキング、キャストインタビュー、テナントアウトテイク、3は削除シーンとメイキングがついてました。
シーズン1のビハインドシーンしかまだ観てないんですが、けっこういいです。
笑顔だから!
アレックがエリーに笑顔だから!!(本編では皆無です)